過払い金請求が住宅ローンに及ぼす影響はある?

住宅ローンの返済終わってるけど、過払い金は発生してる?
住宅ローンの審査したいんだけど、過払い金請求が影響しない?

これから住宅ローンを組もうとしている方や住宅ローンを組んでいた方の中にはこのような不安がある方も多いのではないでしょうか。

しかし、安心してください、借金を完済していれば、過払い金請求が住宅ローンの審査に影響を及ぼすことはありません

一方で、借金返済中は、過払い金請求後の一定期間、住宅ローンの審査に通りにくくなる可能性はあります。

この記事では、過払い金請求が住宅ローンに及ぼす影響、過払い金請求後に住宅ローン審査を申し込む場合の注意点などについて、解説します。

住宅ローンは過払い金請求の対象になる?

住宅ローンで過払い金は発生しません

過払い金とは、利息制限法で決められている上限を超えて払いすぎた利息のことです。

借入額によって「利息制限法」の上限金利は変わりますが、最低でも年15.0%を超える利息を支払っていなければ、過払い金は発生しません。

住宅ローンも借金には間違いありませんが、消費者金融とは違い金利は年2.0〜4.0%程度です。

過払い金請求ができるグレーゾーン金利には届いておらず、法律の範囲内の利息です。

そのため、利息を払いすぎることはなく、過払い金も発生しません。

過払い金請求したら住宅ローン審査に通らなくなる?

過払い金請求が住宅ローンの審査に及ぼす影響は、借金の残高によって異なります

過払い金請求のタイミング住宅ローン審査への影響
借金完済後影響なし
借金返済中(借金より過払い金が多い)影響なし
借金返済中(過払い金より借金が多い)影響あり

配偶者がローンを申し込む場合、自分の過払い金請求がどのような状況であっても、配偶者のローン審査に影響することはありません。

しかし、配偶者が自分の借金の保証人になっていると影響が出てくる可能性があるので、弁護士や司法書士などの専門家に事前に相談しましょう。

以下でそれぞれについて詳しく解説しますので、読んでみてください。

借金完済後に過払い金請求する場合

完済後であれば、過払い金請求をすることでローンの審査に影響が及ぶことはありません。

以前は、過払い金請求は契約見直しという事故情報として登録されました。

しかし、2010年に金融庁が指定信用情報機関の条件として契約見直し登録の削除を命令したことで、過払い金請求は信用情報に載らなくなりました。

借金返済中に過払い金請求する場合

借金返済中に過払い金請求を行う場合は、住宅ローン審査に影響する可能性があります

ポイントは、取り戻した過払い金で現在ある借金を完済できるかどうかです。

戻ってきた過払い金で完済できる(借金よりも過払い金が多い場合)

過払い金請求によって借金が無くなれば、信用情報機関に事故情報が登録されることはありません。

そのため、住宅ローンの審査には影響なく手続きできます。

しかし、過払い金請求の手続きが完了するまで、一時的に任意整理として事故情報が登録されてしまう場合があります。

過払い金によって借金がなくなれば完済として登録され、事故情報も削除されます。

しかし、事故情報が残っていれば審査に通りにくくなるため、ローンの申込は念のため過払い金の請求手続きが終了してから行うことをお勧めします。

過払い金が戻っても借金が残る(過払い金よりも借金の方が多い場合)

過払い金を取り戻しても借金が残る場合、過払い金請求は任意整理扱いとなり、事故情報として登録されます。

ブラックリストに載る期間は完済から5年程度です。事故情報が削除されれば、住宅ローン審査への影響はなくなります。

ブラックリストに載る可能性がある例

過払い金請求を行う際、以下の4つの場合に当てはまる場合も、ブラックリストに載る可能性があります。

  1. クレジットカードのショッピング枠に過払い金額を上回る利用残高がある
  2. 過払い金請求をする借入先が保証会社になっているカードローンから、過払い金を上回る金額の借金をしている
  3. 過払い金請求をする借入先が合併した業者から過払い金を上回る金額の借金をしている
  4. 過払い金請求をする借入先の関連会社から過払い金を上回る金額の借金をしている

事故情報が削除されるまでの期間は、ローン審査に通りにくくなるので、事前に確認しておきましょう。

いずれも過払い金よりも残っている借金が大きい場合にブラックリストに載る可能性があります。

過払い金請求をする場合、請求先の会社で利用していたカードやローンなどに過払い金以上の借金がないか確認してから手続きしましょう。

過払い金請求後に住宅ローンを申し込む時の注意点はある?

過払い金請求後に住宅ローンの申し込みを考えているのであれば、以下のポイントを押さえておきましょう。

過払い金請求手続きが完了するまで住宅ローンには申し込まない

借金返済中に過払い金請求を行う場合、一時的に事故情報が登録される可能性があります。

過払い金請求の手続き中はブラックリストに載っている状態だと考え、手続きが完了するまで住宅ローンの申し込みは行わない方が無難です。

過払い金請求をした業者や関連会社の住宅ローンには申し込まない

過払い金請求をした金融業者や関連会社の住宅ローンに申し込むと、審査に通りにくくなる可能性があります。

過払い金請求をしたことが業者の社内情報として永続的に残り、グループ企業に共有される場合があるためです。

住宅ローン審査でチェックされるのは信用情報だけではない?

住宅ローンを組む際の審査では信用情報だけでなく、年収や属性など、さまざまな情報をもとに、金融業者がローンの返済ができるかを判断していきます。

ローン審査の基準は公開されていませんが、借入時・完済時の年齢や勤続年数、現在の健康状態、担保評価、返済負担率などを審査時に重視する金融機関が多い傾向にありあます。

そのため、信用情報に問題がないのに、審査を通らないこともよくあります

例えば、返済負担率は住宅ローン以外の借入残高も含めて計算するため、ほかに借金を抱えている状態だと「返済できない」と判断され、住宅ローンを組めなくなってしまうのです。

過払い金請求は返済中の住宅ローンに影響する?

過払い金請求が、すでに組んでいるローンに影響を及ぼすことはありません。

過払い金請求後に借金が残り、信用情報に事故情報が登録されたとしても、住宅ローンの一括返済や契約の見直しを求められることはないといっていいでしょう。

過払い金は、最後の取り引きから10年が経つと、請求できなくなってしまいます。

そのため、過払い金が発生している可能性がある場合は、住宅ローンを返済している最中であっても、早めに請求したほうがいいでしょう。

この記事のまとめ

将来、住宅ローンを組むことを考えている人は、まず今の借金を完済することが重要です。

また、過払い金の時効が来る前に請求しなければ、請求できなくなってしまいます。

ただ、過払い金請求や住宅ローン申し込みをいつするのか個人で判断するのは専門的な知識が必要なため、難しいです。

弁護士や司法書士などの専門家であればいつ過払い金請求すればいいのか、いつからローンを組めばいいのかを教えてもらえます。

そもそも過払い金が発生しているのか、現状で住宅ローンを組めるのかといった疑問が出てきたら、弁護士や司法書士に相談してみましょう。