特定調停って何?任意整理との違いはある? 

特定調停ってどんな手続き?

特定調停は裁判所を通して借入先の金融機関と借金の支払いについて話し合う手続きです。

自分一人で行うことができ、費用が安いため、出費を抑えたい人に向いています。。

しかし、特定調停の成功率はとても低く、不成立になってしまうことが多い傾向があります。

以下に各債務整理手続きの利用人数をまとめましたので確認してみましょう。

債務整理の利用者人数(令和元年)
任意整理 不明(推定200万人以上)
個人再生 12,764人
自己破産 73,095人
特定調停 2,959人

特定調停は、他の債務整理手続きとは異なり、専門家に依頼しない手続きです。全て一人で行うため、

手続きの難易度は高く、失敗してしまう方も多いため任意整理を専門家に依頼する方が多いのが現状です。

特定調停のメリット・デメリット

特定調停の最大のメリットは費用を最低限に抑えられることです。一社あたり500円の手数料+予納郵券(郵便切手)にかかる費用のみで手続きを行えます。

まずは、メリットとデメリットを比較してみましょう。

特定調停のメリット
  1. 自分でできる
  2. 費用を安く抑えることができる
  3. 引き直し計算によって借金が減額できる
  4. 整理する借金を選ぶことができる

特定調停のデメリット
  1. 裁判所出頭は平日のみに限られる
  2. 督促が止まるまでに時間がかかる
  3. 過払い金の返還が受けられない
  4. 調停委員が債務整理の専門家でない場合がある
  5. 調停が成立しない場合がある

特定調停のメリット

自分でできる

特定調停は弁護士などに依頼せず、自分で手続きを進める方法です。手続き方法は裁判所の書記官が教えてくれます。

また、実際の調停は調停委員会が間に入って主導するので、借入先と直接交渉せずに済みます

費用を安く抑えることができる

特定調停はもともと弁護士などに経済的な理由で依頼できない人のためにできた債務整理方法です。

弁護士などへの依頼費用がかからず、費用を安くおさえられます。具体的な費用は借入先1社あたり500円の手数料と、郵送費用2,000円ほどです。

引き直し計算による借金減額

特定調停は、任意整理と同じく引き直し計算を行います。

利息制限法の上限金利までさかのぼって計算し、不当な利息を取られていた場合には借金を減額できる可能性があります。

整理する借金を選ぶことができる

特定調停は、任意整理と同じく合意する貸金業者を選べます。車のローンなど担保がついている借金を対象から外せば財産を手放す必要はありません。

また、保証人がついている借入をはずせば、保証人に返済義務が移ることがなくなります。

特定調停のデメリット

裁判所への出頭が平日に限られる

特定調停では、月1回のペースで平日に3、4回程度、債務者本人が裁判所に出廷しなければなりません。

さらに債権者の数が多いと出廷回数も増える傾向にあります。任意整理なら、債権者との交渉もすべて依頼した専門家が行いますので、債務者自身の負担は軽減されます。

仕事を休めないなどの事情がある方も、任意整理を選んだ方が良いでしょう。

督促が止まるまでに時間がかかる

特定調停を申し立てると、取り立てはストップします。

ただし、自分で書類を作成して提出する必要があるため、書類作成などで時間がかかった場合取り立ては続いてしまうのです。

任意整理は弁護士に依頼するとすぐに取り立てはストップしますが、特定調停は書類提出のタイミングが遅れると、取り立てがしばらく続く場合があります。

過払い金の返還が受けられない

特定調停は引き直し計算によって過払い金が発生していることが分かっても、特定調停内で過払い金の請求はできません。

別途過払い金請求の手続きが必要です。

調停委員が債務整理の専門家でない場合がある

調停委員はかならずしも債務整理の専門家というわけではありません。

引き直し計算をしない、将来利息がついたまま、など返済計画が債務者にとって不利なものになってしまうことがあります。

調停が成立しない場合がある

特別調停に債権者が合意しなかった場合は、調停不成立となり債務整理ができません。

不成立となった場合は、任意整理などほかの債務整理方法に切り替えて一から手続きをする必要があります。

また、調停の成立日まで利息や延滞遅延金は発生しています。調停不成立となった場合もこれらの利息や延滞遅延金は支払う必要があります。

特定調停の成功率

任意整理や個人再生、自己破産などの手続きはほとんどの場合で成功します。

個人再生と自己破産は裁判所の決定ですので弁護士や司法書士に依頼し、申し立てることができれば失敗することはほとんどありません。

任意整理には相手側の同意が必要ですが、弁護士や司法書士が交渉するのでほとんどの場合で和解することができます。

成功率は3%程度

特定調停の成功率は約3%といわれています。特定調停の申込件数は年間約3,000件程なので、年間の手続き成功件数は100件もありません。

この成功率の低さが特定調停を行うリスクでもあります。

失敗した場合、別の手続きでやり直し

特定調停が不成立に終わった場合、借金は減額できません。そのため、別の債務整理手続きを検討する必要があります。

特定調停以外の債務整理では任意整理、個人再生、自己破産がありますが、自分にはどのが最適なのかは弁護士や司法書士に相談し、判断してもらいましょう。

特定調停と共通点の多い任意整理を検討することが多いですが、借入額や件数によっては個人再生や自己破産を検討する必要があります。

特定調停と任意整理や個人再生の違い

自己破産と他の債務整理手続きの違いを表にまとめましたのでご覧ください。

任意整理 個人再生 自己破産 特定調停
借金の減額幅
将来利息が減る

1/5程度まで減額

全額免除

将来利息が減る
手続きの期間
1~3ヶ月

約6ヶ月

6~12ヶ月

1~3ヶ月
官報への掲載
載らない

住所・氏名が掲載

住所・氏名が掲載

載らない
家族・会社に
バレる?

バレない

バレずに手続き可

バレずに手続き可

バレずに手続き可
仕事
影響なし

影響なし

一部仕事に就けず

影響なし
自家用車
影響なし

ローンあれば手放す

手放すことになる

影響なし
持ち家
影響なし

影響なし

手放す

影響なし

表から分かる通り、借金をした人の状況によって選ぶ手続きは変わってきます。

他の債務整理と特に異なるのは、全て自分で行う手続きであるということです。一方で、特定調停は任意整理と共通点が多く、財産や職業などへの影響はありません。

そのため、手続きが成功すればデメリットを少なく抑えて返済額を減額することができます。

特定調停をする条件って何があるの?

特定調停には、以下の三つの条件があります。

  • 法的条件
  • 金銭的条件
  • 生活環境的条件

それぞれの条件について、具体的に解説していきます。

法的条件

特定調停の手続きをする場合、まず法的条件を満たす必要があります。

法的条件は、以下の2点になります。

  • 特定債務者であること
  • 特定調停手続によって調停をすることを求める旨の申述をする

以上二つの条件です。以下で順番に見てみましょう。

特定債務者と認められるためには、借金を負っていることが必要です。借金でも買い掛け金の支払いなどの場合でも特定債務者となります。

また、このままでは借金返済ができなくなるおそれがあるか、借金の返済が個人事業などの継続に支障が出る可能性がある場合に特定債務者と認められます。

特定調停の場合は、支払い不能になる可能性があれば手続きが可能です。

個人事業者や法人などの場合は、業務に使用するものを処分しないと借金が返済できない状態でも特定債務者と認められます。

基本的には借金返済によって生活が圧迫されて返済が苦しくなってきていたら、特定債務者の要件を満たすと判断される可能性が高いです。

次に、特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述が必要です。簡単にいうと、簡易裁判所で特定調停をすることを申告することです。

これは、簡易裁判所にある申立書に「特定調停手続により調停を行うことを求める。」という記載をするのみです。

裁判所には、特定調停申立書の記入例があり、必要な文言が書き込まれているので、その通りに記載すれば問題ありません。

金銭的条件

特定調停を利用するためには、手続き後に減額された借金を支払う必要があるため、支払い能力があることが条件になります。

無収入の場合などには特定調停はできないので、注意が必要です。

また、特定調停をするためにも費用が必要です。借入先の金融機関1社について500円、予納郵便切手が数千円程度必要になります。

生活環境的条件

特定調停には、生活環境的な条件も必要です。

特定調停は通常専門家を利用せずに個人が自分で手続きすることがほとんどです。そのため、手続きに手間をかける時間があることが必要です。

平日の昼間に簡易裁判所に行く必要があるので、仕事にもある程度余裕がないといけません。

このように、特定調停を利用したい場合には、一定の条件が必要になるので、まずは押さえておきましょう。

特定調停に向いてるのはどんな人?

特定調停のメリットやデメリット、その他特徴についてお伝えしてきました。では、自己破産に向いている人はどのような人なのでしょうか。

自己破産に向いている人の特徴を以下にまとめましたので、確認してみましょう。

  • 手続き費用を最小限に抑えたい人
  • 手続きのための時間や手間が気にならない人
  • 法律の知識を持っている人

特定調停は弁護士や司法書士などの専門家に依頼しない債務整理方法なので、専門家費用がかからず費用全体を最小限に抑えることができます。

そのため、費用が用意できなかったりできるだけ安く済ませたいという人にはおすすめの手続きです。

一方で、専門家に依頼しない分書類作成や裁判所でのやりとりを自分で行わなければならないため、手間や時間に余裕がある人でなければ利用できません。

複雑な書類作成や裁判所でのやりとりなど一人でできる、法律の知識がある人であればお勧めします。

特定調停手続きの流れ

では、特定調停はどのような流れで手続きが行われるのでしょうか。

特定調停をする場合、手続きが完了するまでの手続きは以下の6つです。

STEP.1
申立書類の作成

特定調停は申し立てを簡易裁判所に行います。

しかし、その前に申立に必要な書類を全て揃える必要があります。

必要書類は後ほど詳しく解説しますが、

  • 特定調停申立書
  • 財産の状況を示す明細書等
  • 関係権利者一覧表
  • などを揃えてから裁判所に行くことになります。

STEP.2
簡易裁判所に申立

原則、債権者となる相手方の管轄地方簡易裁判所に行って、申立を行います。

STEP.3
事件受付票が交付され調整期日が設定

提出書類に不備がなければ、その日のうちに受理され、おおよそ2~3日程度で裁判所から債権者に特定調停の通知が送られ、取り立ても止まります。

同時に取引履歴の開示請求が出され、債権者から送られてくることになります。

また、特定調停として進めて良いという目処が立ったら、債務者に調査を行う「調査期日」が設定されます。

STEP.4
調停委員の選任

裁判所が調停委員を2名選任して、裁判官1人を加えた3人の調停委員会が発足します。

STEP.5
調査期日

調査期日では調停委員から特定調停の利用者に、申立書の内容の確認、借入状況・支払い状況などのヒアリング、今後の生活の見込みなどについて直接質問があります。

質問に的確に回答できるように、全ての債権者からの借り入れの内容がわかる書類や返済計画書を用意しておくと良いでしょう。

このヒアリングをもとに返済計画案が作られます。

なお、この段階でも特定調停が取り下げられるケースがあり、例えば、債務に対して収入が少なすぎる場合や、客観的にみて返済計画に無理がある場合などです。

STEP.6
第1回調整期日

調整期日では、調査期日で作成した返済計画案をもとに、調停委員と債権者が個別に返済計画を調整します。

なお、債権者は出頭しない場合もありますが、こういったケースでは、調停委員が債権者と電話で調整を行います。

調停員は特定調停の利用者と貸金業者の意見を聞いた上で、公平で妥当な返済調整を行なってくれます。

STEP.6
調停成立

調整の結果、合意に達したら調整成立となり、決定した返済計画に基づいた返済計画書と調停調書が作成されます

その後は合意された(減額された)返済計画どおりに返済していきます。

特定調停にかかる期間はどのくらい?

手続きの流れは、同時廃止事件、管財事件、少額管財事件のどの方法でも大きくは変わりません。

ただし同時廃止事件と比べて、管財事件や少額管財事件は、財産の処分や売却などの手続きが必要となり、手続き期間が長くなります。

自己破産手続きの種類と免責許可までにかかる期間(目安)
同時廃止事件 約3~4ヶ月
管財事件 約6~12ヶ月
少額管財事件 約4~6ヶ月

特定調停に必要な書類ってどのくらいある?

自己破産手続きで、最低限必要な書類を以下にまとめました。

書類に不備があった場合、裁判所から書類の修正を求められ、手続き期間が延びてしまいます。免責の可否にもかかわるので、正確に準備しなければいけません。

弁護士に依頼すれば、下記すべての書類作成、準備の手助けをしてくれます。

自己破産の申立をしたにもかかわらず、免責が許可されない場合は手続きする前と同じように借金を支払い続けなければなりません。

確実に手続きを進めるためにも、プロである弁護士に依頼しましょう。

書類の概要 書類名
自己破産を申し立てる書類 申立書
自己破産に至る経緯などを説明する書類 陳述書
住居に関する書類 賃貸借契約書・不動産登記簿謄本・住宅使用許可書
財産に関する書類 財産目録
収入に関する書類 給与明細書・源泉徴収票・課税証明書・年金などの受給証明書・確定申告書・同居人の給与明細書/源泉徴収票・退職金支給明細書・退職金規定
居住地や戸籍に関する書類 戸籍謄本・住民票
財産に関するもの 不動産登記簿謄本・固定資産評価証明書・課税台帳に記載がないことの証明書・ローン残高証明書・生命保険証書・車検証・車両の売却査定書・預金通帳・各種証書・証明書類
債務(借金)に関する書類 債権者一覧表・滞納公租公課一覧表

特定調停にかかる費用ってどのくらい?

特定調停にかかる費用は非常に安く、費用の内訳としては、
・特定調停の申し立て手数料
・手続き費用
になります。

ここでは自分で申立を行う場合の東京地方裁判所の例を解説します。

特定調停の申し立て手数料

相手方(債権者)1社につき500円分の収入印紙が必要で、例えば債権者が4社ある場合は、500円×4社分で2,000円です。

ただし、債権者1社あたりの債務が1,666,666円を超える場合は追納が発生することがあります。

手続き費用(予納郵便切手)

相手方(債権者)1社あたりにつき、430円分の切手が必要ですが、特定調停の進行によって追加で必要になることがあります。

特定調停の必要な費用は1社あたり930円なので、他の債務整理と比較すると激安と言って良いくらい費用負担は少ないです。

特定調停の後の生活って不便?

では、特定調停は手続き後の生活にどのような影響があるのでしょうか。

借金の返済

特定調停の場合、手続き後に減額された後の借金の元本を返済する必要があります。

借入先の金融機関それぞれに返済計画どおりに振り込まなければなりません。

任意整理であれば、弁護士や司法書士といった専門家に依頼することで手続き後に借入先の金融機関とのやりとりをすることなく元本が返済できます。

日常生活への影響

特定調停だけでなく、どの債務整理手続きをしたとしてもブラックリストに登録されます。

特定調停の場合は約5年間で解除されます。ブラックリスト期間中は、以下のことができなくなります。

  • クレジットカードや住宅ローンが利用できなくなる
  • カードローンやキャッシングが利用できない
  • 携帯電話やスマホ購入する際、分割払いができない

ブラックリストは約5年で解除されます。なので、手続き後一生クレジットカードが使えなくなるということはありません。

クレジットカードやローン、キャッシングが利用できないのは不便だと思います。

しかし、現金や収入の範囲で生活する習慣を身につけるチャンスなので有効活用していきましょう。

ブラック期間中クレジットカード使えないと不安・・・

ネットショッピングや各種支払いなど、クレジットカードが使えないと不便だし嫌だと思う方も多くいると思います。

そのような方でもクレジットカードと同じように使えるのが以下のようなシステムです。

  • デビットカード
    購入と同時に銀行口座から引き落とされるため、銀行口座があれば審査が不要。
  • プリペイドカード
    事前に入金するため、審査は不要。
  • 家族カード
    家族内の別の人が本会員であれば可能。
  • 「LINE Pay」「PayPay」などスマホ決済
    プリペイド式や銀行口座からの引き落としが可能。

この中でも特におすすめなのは「LINE Pay」などのスマホ決済です。Amazonや楽天といったECサイトでも利用でき、債務整理をしている人の中でも利用率が高い傾向にあります。

まとめ

特定調停は「専門家を雇わない任意整理」と呼ばれるくらい、任意整理との共通点が多い手続きになります。

自分一人で書類作成や借入先との交渉を行わなければならないため、成功率はかなり低く、確実に減額できるという保証もありません。

借金に困っていて返済総額を確実に減額したい、と考えている人は一人ではなく専門家のサポートを受けることができる任意整理の方がお勧めです。

今読んでいるあなたが借金返済に苦しんでいるなら、生活への負担を最小限にするためにも、まずは現在の借入総額からいくら減額可能なのか、シミュレーションをしてみましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

\【司法書士監修】無料・匿名で1分でわかる!/
借金減額シミュレーター
\無料・匿名で1分!/
借金減額診断